小説の世界観設定を整理する方法|
設定が増えても破綻させない管理術
世界観は「作ること」より「増えたあと」が難しい
小説の世界観を考えるときは、設定を作ることそのものに意識が向きやすくなります。
- 国や街の特徴
- 魔法や技術のルール
- 宗教や組織
- 歴史
- 固有の用語
最初は一つずつ決めていけば問題ありません。
しかし書き進めるほど設定は増え、途中で変更も入ります。
すると難しくなるのは、設定を考えることではなく、
「何を決めたか」「どこで使っているか」「変更すると何に影響するか」を把握し続けることです。
この記事では世界観のアイデアの出し方ではなく、
すでに作った設定を整理し、物語を書きながら管理する方法に絞って考えます。
世界観の「作り方」と「管理」は分けて考える
世界観を作るときの問いと、管理するときの問いは違います。
作るときは、
- どんな国なのか
- どんな文化があるのか
- どんなルールで世界が動くのか
といった内容を考えます。
一方、管理するときに必要なのは次のような視点です。
設定資料を増やすことと、設定を管理できる状態にすることは別の作業です。
詳しく書くほど管理しやすいとは限らない
たとえば魔法の仕組みを何千文字も書いていても、執筆中に必要な情報へすぐ辿り着けなければ確認には時間がかかります。
逆に、短い設定でも、
- 現在の内容
- 例外
- 関係する人物や出来事
が分かれば、実際の執筆では使いやすいことがあります。
⚠ 世界観設定の管理は「資料を充実させること」そのものを目的にしない方が扱いやすくなります。
まずは設定を大きなまとまりで分ける
設定が増えてきたら、最初に「どこを見れば何があるか」を決めます。
分類方法に正解はありません。
作品によって必要な項目は変わりますが、たとえば、
- 場所・地域
- 組織・国家
- 文化・制度
- 技術・魔法などのルール
- 歴史・出来事
- 固有用語
のように大きく分けられます。
重要なのは、すべての作品で同じ分類を使うことではありません。
自分が「あの設定はどこにあるか」で迷わないことです。
世界観整理の最初の目的は、設定を美しく分類することではなく、確認したい情報へすぐ辿り着ける状態を作ることです。
分類を細かくしすぎない
分類を増やしすぎると、今度は設定を追加するたびに「どこへ入れるか」を考える必要が出てきます。
最初は大きな区分だけにして、設定が増えて本当に必要になったときに分ける方が管理しやすくなります。
「確定」「仮」「要確認」を区別する
世界観は、書き始める前にすべて確定するとは限りません。
書きながら、
- 地名を変える
- 組織の役割を変える
- 魔法の制限を追加する
- 歴史上の事件を差し替える
といった変更が起きます。
このとき困るのが、昔の仮設定を確定事項だと思い込んでしまうことです。
細かな状態管理は必要ありません。
「確定」「仮」「要確認」程度でも、あとから見返したときの判断はかなりしやすくなります。
世界観設定を変更したら、影響先を確認する
設定管理が特に重要になるのは、後から内容を変更したときです。
たとえば、ある国の制度を変更したとします。
設定の一文を書き換えるだけなら簡単です。
しかし、その制度を前提にして、
- 主人公が行動している
- 組織が存在している
- 事件が起きている
- 伏線が成立している
のであれば、そこも確認する必要があります。
変更時は、次の順番で見ると追いやすくなります。
- 何を変更したか確認する
- その設定が使われている場面や出来事を確認する
- 関係する人物を確認する
- 関連する別の設定や用語を確認する
- 古い前提が本文やプロットに残っていないか確認する
伏線の変更や回収先を追う考え方については、小説の伏線管理方法でも扱っています。
管理方法は、情報の役割によって使い分ける
世界観設定の整理には、文章、一覧、表、マインドマップなどいくつかの方法があります。
どれか一つだけを使う必要はありません。
たとえば、
- 詳しい説明を残したいなら文章
- 用語や設定を同じ形式で確認したいなら一覧
- 設定同士や人物・出来事との関係を見たいならマインドマップ
というように、見たいものに合わせて表現を変えると整理しやすくなります。
ここで大切なのは、情報を別々の場所へ分散させることではありません。
一つの場所でまとめて管理する場合でも、すべての情報を同じ粒度・同じ見せ方にする必要はない、ということです。
「何を管理するか」と「どう見せるか」は分けて考えます。情報はまとめて持ちながら、必要に応じて文章・一覧・構造として見られる状態が扱いやすい形です。
設定資料だけでは「物語との関係」が見えにくいことがある
たとえば、ある国に「夜間の外出は禁止」という制度があるとします。
その制度の内容は文章で詳しく残せます。
しかし、その制度が、
- 主人公の行動を制限している
- 警備組織の存在理由になっている
- 夜に起きる事件の条件になっている
という関係は、文章を順番に読むだけでは見えにくいことがあります。
ここで役立つのが、設定と物語の関係を構造として見ることです。
- ・ この設定がなくなると、どの展開が成立しなくなるか
- ・ どの人物の行動に影響するか
- ・ どの出来事の原因や条件になっているか
- ・ 変更時に一緒に確認したい要素は何か
人物同士の関係そのものを整理したい場合は、小説のキャラクター相関図の作り方で詳しく扱っています。
マインドマップでは「情報の量」ではなく「関係の見え方」を整える
世界観設定をマインドマップで管理するとき、問題になるのは情報をたくさん持つこと自体ではありません。
詳細な設定まで管理していても、すべてを同じ粒度で展開し、関係するものを片端から線で結ぶと、何が重要なのか分かりにくくなります。
たとえば、ある魔法体系について、
- 詳細な仕組み
- 使用条件
- 例外
- 歴史
- 関連用語
まで管理していても構いません。
そのうえでマップを見るときは、物語の展開に関係する大きなルールや、人物・出来事との重要なつながりを中心に見る方が構造を把握しやすくなります。
線を引くのも、意味のある関係を中心にする
関係があるからといって、すべてを線で結ぶ必要はありません。
線が増えすぎると、本当に確認したい関係が埋もれてしまいます。
たとえば、
「この設定を変更したら、ここも一緒に確認したい」
と思う関係や、物語上の因果を理解するために必要な関係を優先します。
これは「細かな設定を管理しない」という意味ではありません。
細かな設定も持ちながら、構造として見せる関係には強弱をつけるという考え方です。
NovelMapなら、設定から執筆まで一つの場所で管理できる
NovelMapでは、世界設定だけでなく、プロット、キャラクター、伏線、執筆まで一つのサービス内で扱えます。
そのため、詳細な世界観設定をNovelMapの外へ分ける必要はありません。
世界観の細かな情報までNovelMapで管理しながら、マップでは人物・出来事・伏線などとの関係を見渡すことができます。
ここで意識したいのは、全部を管理することと、全部を同じ見え方にすることは別だという点です。
たとえば世界観設定が多い作品でも、
- 詳細な設定はしっかり残す
- 人物やプロットも同じ場所で管理する
- 本文も同じ場所で書く
- マップでは、確認したい構造や関係を中心に見る
という使い分けができます。
設定管理全体の考え方については、小説の設定管理とは何か?で詳しく解説しています。
NovelMapそのものについては、NovelMapとはで確認できます。
まとめ:全部管理しても、全部を同じ見せ方にしなくていい
世界観設定が増えてきたとき、必要なのは情報を減らすことではありません。
まずは、
・ 何を決めたか
・ どの程度確定しているか
・ どこで使っているか
・ 変更すると何に影響するか
を確認できる状態にします。
そのうえで、詳しい内容は詳しく残し、関係を見たいときはマインドマップで構造を確認します。
世界観、人物、プロット、伏線、本文を一つの場所で管理していても問題ありません。
大切なのは、情報を全部持つことではなく、全部を同じ粒度で広げないことです。
設定が増えて見通しが悪くなってきたら、削る前にまず「いま確認したいのは詳細なのか、関係なのか」を分けて考えてみてください。